「作動状況」
車両は、出力要求、高電圧バッテリ (A100g1) の充電状態、および選択された操作モード(モデル205.047/147/247、モデル253.354/954)に応じて、電気でのみ走行します。出力要求が大きい場合、内燃エンジンは特にハイブリッドドライブ用に直接噴射式ガソリンエンジン付きで独自に開発された方法でスタートし、その後、ウェットクラッチ (NAK) の走行状態に応じた制御により、すみやかに快適に切り換えられます。その際、メルセデス・ベンツスタート方式は、スタータの適切な制御と、直接噴射式ガソリンエンジンのいわゆるダイレクトスタートを組み合わせて利用します。ダイレクトスタートとは、効果的な燃料噴射とイグニッションによってスタートを最適化するものです。
このことと、スタートする内燃エンジンをさらに加速させるウェットクラッチの同時制御によって、ハイブリッド車両は従来のスタート方式と比べて、スタートが大幅に速くスムーズになっています。こうしたスタート方式の改善により、エレクトリックモードから駆動装置へのすみやかな接続が保証されています。
走行中の作動状況は、以下のように分類されます:
• ハイブリッドモード
• エレクトリックモード
• 回生
• ブーストモード
ハイブリッドモード
ハイブリッドモードのとき、内燃エンジンがメインのドライブソースです。エレクトリックマシン (A79/1) は、発電式の操作モードでエアコンなどの電源独自のエネルギ消費の電源供給のために、または高電圧バッテリ放電時または再充電時まで使用されます。加速が大きくなると、エレクトリックマシンはいわゆるブーストモードで内燃エンジンをサポートし、これにより8気筒エンジンの最高水準の出力とトルクが供給されます。
しかし、駆動装置と車載電装品の出力要求に応じて、また高電圧バッテリの充電状態に応じて、内燃エンジンは停止され再びエレクトリックモードに戻ります。
エレクトリックモード
走行モードまたは操作モードがエレクトリックモードを許容し、高電圧バッテリの充電状態が十分高く、運転者のトルク要求を電気のみで満たすことができ、ダイアグノシスまたはシステムエラーがエレクトリックモードを阻止していない場合は常に、この走行モードが採用されます。その際、一定の前提条件が満たされていれば、ウェットクラッチは開き、内燃エンジンはMEコントロールユニットによって停止されます。
回生
ハイブリッド車両では、プレミアムESP®システムが改良され、回生ブレーキシステムにおいて、正常運転時にはマスタブレーキシリンダとリアアクスルブレーキ回路との間のハイドロリック接続が、ESP®システムに内蔵されたセパレートバルブによって遮断されるようになりました。つまり、リアアクスルには、エレクトリックマシンか、またはハイドロリックユニットによって、ブレーキをかけることができます。
回生ブレーキでは、ブレーキトルクの一部が、あるいはブレーキ力が低い場合にはブレーキトルク全体が、エレクトリックマシンによって生成されます。その際に発生した電気エネルギによって高電圧バッテリが充電されます。
ブーストモード
ブーストモードのとき、エレクトリックマシンは、要求された基準トルクをできる限り早く得るために、または最大内燃エンジントルクを獲得したときに駆動トルクを補強するために、内燃エンジンをサポートします。
その際、ブーストモードの継続時間と程度は、高電圧バッテリの充電状態およびアクセルペダルのポジションによって決まります。発進中のブーストモードでは、内燃エンジンとエレクトリックマシンの間の回転数調整はウェットクラッチ制御によって行われます。
操作モードおよび走行モード(モデル205.047/147/247、モデル253.954/354)
運転者と走行プロファイルの要求に応じて車両を適切な方法で使用するために、運転者は手動で選択する3種類の走行モードと4種類の操作モードを利用できます。
アジリティセレクトスイッチ (N72/4s1)(モデル205、モデルイヤー(以前) 2016年、モデル253以外)、またはダイナミックセレクトスイッチ (N72/4s11)(モデル205、モデルイヤー(以降) 2016年、モデル253)を押して、以下の走行モードを選択することができます。
• コンフォート
• スポーツ
• Sport Plus
• Individual
• ECO
アジリティセレクトスイッチ(モデル205、モデルイヤー(以前) 2016年、モデル253以外)、またはダイナミックセレクトスイッチ(モデル205、モデルイヤー(以降) 2016年、モデル253)は、左アンダコントロールパネル (N72/4) 上にあります。ステータスはオーディオ/COMAND操作ユニット (A40/9) からLCP LIN (LIN A3) 経由で読み取られ、CAN接続経由でインストルメントクラスタ (A1) およびドライブトレインコントロールユニット (N127) に伝送されます。ドライブトレインコントロールユニットは走行モードを設定し、インストルメントクラスタは設定された走行モードを表示します。
コンフォート
ハイブリッドモードでの走行、エレクトリックモードでも惰走
スポーツ
スポーティな走行、内燃エンジンは常にオン
Sport Plus
特にスポーティな走行、内燃エンジンは常にオン
Individual
走行モード「Individual」では車両システムのプロパティを運転者自身が設定できます。
ECO
ハイブリッドモードでの走行、走行区間に基づく走行モード戦略とセーリングモード
セーリングモード
走行モード「ECO」では、エレクトリックモード中のスラストトルクが最小まで低減され、これが最大のセーリングモードを実現します。これにより車両は、アクセルペダルを離して、惰走状態でさらに走行を続けることができます。
セーリングモードが長く続いた後に強くブレーキがかかったり、セーリングモードが早く始まり過ぎて、続いてあらためて内燃エンジンによるサポートが行われたりすると、効果は下がります。このような理由から、ECO アシスト用インテリジェントアクセルペダルが取り付けられました。
車両に取り付けられているレーダーセンサシステムを使用して、「前走」車両との距離と速度が検知されます。「前走」車両に対して燃料消費量を低減する速度調整を行うために、アクセルペダルから足を放した瞬間に、ECO アシストが介入します。インテリジェントアクセルペダルにおける感知できるダブルパルスにより、運転者はアクセルペダルを離すよう、推奨されます。ペダルから足が離れるとすぐに、エレクトリックモードが利用できる場合は内燃エンジンが停止し、ウェットクラッチがドライブトレインから外れて、車両はセーリングモードに切り換わります。
「前走」車両が速度を落とすか、あるいはその他の影響によって距離が縮まると、レーダに基づく減速制御が開始されます。エレクトリックマシンのスラストトルクの適合により、「前走」車両との距離は走行状況に応じて適切に調整されます。
以下の表は、それぞれの操作モードでどの走行モードが選択できるか、また駆動力がどのように生成されるかの概要を示したものです。
操作モード | 駆動力 | コンフォート | スポーツ | Sport Plus | Individual | ECO |
ハイブリッド | 内燃エンジン+エレクトリックマシン | 選択可 | 選択可 | 選択可 | 選択可 | 選択可 |
Eモード | エレクトリックマシン | 選択可 | 選択不可、内燃エンジン作動。 | 選択不可、内燃エンジン作動。 | 選択可 | 選択可 |
Eセーブ | 内燃エンジン | 選択可 | 選択不可、内燃エンジン作動。 | 選択不可、内燃エンジン作動。 | 選択可 | 選択可 |
チャージ | 内燃エンジン | 選択可 | 選択不可、内燃エンジン作動。 | 選択不可、内燃エンジン作動。 | 選択可 | 選択可 |
操作モード選択ボタン (N725s16)(モデル205、モデルイヤー(以前) 2016年、モデル253以外)、または操作モード選択ボタン (N72/4s6)(モデル205、モデルイヤー(以降) 2016年、モデル253)を押すと、以下の4種類の操作モードを選択できます。
• ハイブリッド
• Eモード
• Eセーブ
• チャージ
走行モードでは基本的に走行特性が設定されるのに対して、操作モードでは、電気エネルギの利用および高電圧バッテリの充電状態に直接影響を与えます。
操作モード選択ボタンは右アンダコントロールパネル (N72/5)(モデル205、モデルイヤー(以前) 2016年、モデル253以外)、または左アンダコントロールパネル (N72/4)(モデル205、モデルイヤー(以降) 2016、モデル253) ステータスはオーディオ/COMAND操作ユニットによって読み取られ、CAN接続経由でインストルメントクラスタおよびドライブトレインコントロールユニットに伝送されます。ドライブトレインコントロールユニットは操作モードを設定し、インストルメントクラスタは設定された操作モードを表示します。
ハイブリッド
ハイブリッド操作モードは標準操作モードです。走行モードでは、ハイブリッドモードが充電状態に応じた比率のエレクトリックモードで提供され、エレクトリックマシンのための適切な予備出力を確保することで、スタート時に最大限の快適性を提供します。
走行モード「スポーツ」および「Sport Plus」では、最大の敏捷性が設定され、トランスミッションのギアレンジ選択とアクセルペダル特性曲線が変更され、またエレクトリックモードは完全に廃止され、ブースト出力が高められます。
走行ルートに基づいた運転モード戦略
運転者は、手動選択によって、さまざまな操作モードを利用することができます。運転者は自分の走行区間を熟知し、電気走行する区間、そして高電圧バッテリが空になるタイミングを知っているからです。
走行ルートに基づいた運転モードは、この2つの要求を取り上げ、地図データを考慮して、走行ルートに適した操作モードの順番決定を運転者自身が行わなくてもすむようにしてくれます。
その際、操作モードの選択は、事象のみに基づくのではなく、以下の点も考慮して行われます:
• 電気エネルギの使用は、距離に応じたさまざまな消費量の低減に影響します。
• 市街地でエレクトリックモード用の電気エネルギを使用すると、運転者は環境保護に貢献している意識が高まります。
郊外では、走行ルートに基づいた運転モード戦略は、一時的に電気エネルギの使用を減らし、さらに負荷ポイント移動によって、残りの走行区間のために適切に高電圧バッテリの充電状態を調整できます。
走行ルートのエネルギ面での評価、ならびに充電コントロールと出力には、以下の基本条件が必要です:
• COMANDオンライン
• 車両電源回路の電力消費
ハイブリッドドライブシステムの制御 |
1 | 手動エネルギマネジメントに対する高電圧バッテリの充電状態の上昇 |
2 | 市街地におけるエレクトリックオンリーモードによる走行 |
3 | エネルギマネジメントの自動切換え |
A | 郊外の走行 |
B | 市街地の走行 |
C | 郊外の走行 |
D | 目的地への到着 |
SOC | 高電圧バッテリの充電状態 |
P08.30-2100-74
Eモード
操作モード「Eモード」は、エレクトリックモードを最大限に行うモードです。運転者が快適にエレクトリックモードで走行を続けられるよう、プレッシャポイントをともなうインテリジェントアクセルペダルが作動します。この場合、内燃エンジンスタート要求を出す少し前に、感知できるプレッシャポイントがアクセルペダルを介して出力されます。スタートは、プレッシャポイントを超えて過圧した後に実施されます。
Eセーブ
操作モード「Eセーブ」では、この操作モードの作動時に保存された高電圧バッテリの充電状態が維持されます。エレクトリックモードは一部、引き続き許可されます。アイドリング時の電力消費を回避するため、停止状態または惰走モード時におけるエンジンの停止はこれにより引き続き可能です。高電圧バッテリからは、充電状態が設定値を下回らない分のエネルギだけが利用されます。
チャージ
操作モード「チャージ」では、高電圧バッテリは走行中、内燃エンジンに負荷をかけることにより、おだやかに充電されます。その際、継続的な充電モードを保証するため、いかなるエレクトリックモードも、ブーストモードも行われません。高電圧バッテリが完全に充電されると、自動的に操作モード「Eセーブ」に切り換わります。
ハイブリッドドライブシステムの走行モードと、その際に作動するエンジンコントロールのサブ機能は、以下のドキュメントで説明されます:
• 惰走モード
• ハイブリッドドライブシステム機能の走行モード
• 自動エンジン停止機能
• 自動エンジン始動機能
• ハイブリッドドライブシステムトルク調整の機能
• ハイブリッドドライブシステムモニタの機能
• 回生ブレーキの機能
参照文書
- gf0830p2004rfh 惰走の機能
- gf0830p2005rfh ハイブリッド·ドライブ·システム機能の走行モード
- gf0830p3001rfh 自動エンジン·ストップの機能
- gf0830p3002rfh 自動エンジン·スタートの機能
- gf0830p4001rfh ハイブリッド·ドライブ·システム·トルク調整の機能
- gf0830p5001rfh ハイブリッド·ドライブ·システム·モニタの機能
- gf0830p9999rfh ハイブリッド·ドライブ·システムのシステム構成部品の一覧
- gf4222p1010rfh 回生ブレーキの機能