一般注意事項
さまざまな車両を燃費および排出ガスの点から客観的に、また再現可能に比較できるように、監督官庁は規格化した走行サイクルを定めています。例えば、欧州のEU加盟国およびスイスでは現在「新ヨーロッパ走行サイクル (NEDC)」が施行されています。
1996年1月1日、欧州ガイドライン70/220/EWG、80/1268/ EWGおよび93/116/EWGに準拠したNEDCが導入され、拘束力を持つようになりました。それに伴い、同一メーカの他の車両と、また競合メーカの車両を直接比較する技術的な方法が確立されました。認証化を目的とした燃費および排出ガスの計測は、ローラテストベンチ上で法的に厳密に定められた手順によって実施されます。
正確な走行サイクル (NEFZ) およびテスト条件はガイドライン70/220/EWGに規定されています。最も重要な基準をここに一覧します:
• 車両は標準装備の状態にします。
付属品、特殊なホイール、ルーフアタッチメント等の後装備による逸脱は認められていません。。工場側から提供されたオプション装備の場合も同様です。
• 試験燃料はCEC基準燃料の特徴に一致していなければなりません(市場の燃料を使用)。
• 周辺温度は20 °C ~ 30 °C、空気圧は1000 hPaです。
• 測定開始時点で、車両温度(エンジンオイルおよびクーラント)は周辺温度とほぼ同等にしてください (20 30 °C)。
• ライト、エアコンおよびその他の電装品はオフにします。
• NEDCの内訳は、市内(約 4 km)および市外区域(約 7 km)です。市内区域の走行サイクルの内容は、特定のアイドリング、加速および定速走行と減速段階です。この走行サイクルは780 秒(13 分)以上、平均スピード19 km/hで行います。市内区域の走行サイクルの最大速度は50 km/hです。市街区域の走行サイクルは実施時間400 秒(6:40 分)、平均車速62.6 km/h、最高速度120 km/hです。大部分は、50、70、100および120 km/hの定速走行です。
• NEDCでは、平坦なクロスカントリー走行をシミュレーションします。したがって坂道走行は含まれません。
NEDCは元来はエミッションテスト (EURO 0 ~ 6) 専用として導入されました。このテストからは路上における実走燃費には対応しない、ダイナモメータ上で再現可能かつ比較可能な排出値が出されました。
プラグインハイブリッド車両のNEDCにおける燃費計測時の特記事項
NEDCでの燃費計測の際は、プラグインハイブリッド車両用のECE基準 R101にしたがい、複数回走行します。
まず、高電圧バッテリをフル充電した車両で高電圧バッテリが完全に放電するまで走行することで、最大電気走行可能距離が決まります。電気走行可能距離は電気で走行した区間から算出されます。
次に、高電圧バッテリが完全に放電された状態でNEDCを1回実行します。ここで算出した燃費はECE R101に準拠し、算出した電気走行可能距離と次回の電源からの充電までの25 kmのガイドラインに規定された平均距離と比例しています。ここから組み合わせ絶対燃費値が得られ、100 kmの距離で標準化します。
最初の放電した高電圧バッテリのサイクル終了時に、引き続きブレーキエネルギの回生が可能で、加速のサポートに使用できます。燃費を最適化するために、惰走モード時にエンジンを停止することも可能です。
燃費についてお客様から苦情を受けた場合の作業の進め方
車両の前提条件と燃費認証のためのテスト規定は、すべて法的に定められています。実走時には、認証された規定値と比較すると通常誤差が生じます。これは通常、研究所で法的に規定された標準化水準と条件が異なった場合に生じます。さまざまな温度特性、車両負荷、アクティブな補助電装品などがそれに当たります。例えば、消費電力がエアコン約1,500 Wおよびシートヒータ約300 Wの場合などです。
ゆえに燃費値に誤差が生じる場合がありますが、説明可能なものです。同様にプラグインハイブリッド車両の電気走行可能距離も、これらの要因の影響を受けます。そのため、インストルメントクラスタの電気走行可能距離の表示は、高電圧バッテリフル充電の場合でも認証化にしたがい、最大値と異なる可能性があります。電気走行可能距離の表示は充電状態、外的影響およびお客様の走行特性に基づいた予測です。
NEDCのテスト条件については、お客様と直接話をして、法的に厳密に定められたテスト手順があるということを説明してください。このようにしてのみ、各種メーカの車両の相互比較が確実に可能になるのです。したがって、認証された燃費はお客様の走行特性において、お客様の走行環境下で得られた燃費値を確認するのに、限定的にのみ適してます。お客様が燃費の明らかな相違にご不満をお持ちの場合は、お客様が主張される燃費値を分析し、技術的要因を考慮して論拠を示すことがとても重要です。この場合、車両に乗り込み、最低3,000 km(できれば10,000 km、この走行距離で明確な燃費値低減が確認可能なため)を走行して確認する必要があります。
以下のダイアグラムは、プラグインハイブリッド車両および標準型ドライブトレイン装備車の組み合わせ燃費と走行距離の関係を量的に示したものです。
y | 組み合わせ燃費 |
x | 距離 |
A | 標準型駆動 |
B | プラグインハイブリッド |
C | プラグインハイブリッド認証値 |
P07.00-2245-05
プラグインハイブリッド車両の組み合わせ燃費は、電気走行または部分的な電気走行が可能な短距離走行の場合に最も低く、組み合わせ燃費の認証値を大きく下回ることもあります。高電圧バッテリの放電後、走行距離の大部分がエンジンで走行されるため、組み合わせ燃費はだんだんと上昇していきます。したがって走行距離が長くなると、組み合わせ燃費は認証値を超えてしまう場合があります。
この関連については、詳しくお客様に説明してください。技術的な不具合がない限り、認証値と比較して実走行時の燃費が高くなることは明白です。
行政および自動車産業はしばらく前からWLTP(乗用車等の国際調和排出ガス燃費試験法)の導入活動を行っています。これはNEDCを解消させるもので、将来的に規格燃費と実走燃費が可能な限り接近することを目的としています。欧州では実走時の排出ガス (RDE) の測定方法の導入も検討されています。これは実走中の車両の排出ガスを測定します。メルセデス・ベンツは両活動を全面的に積極支援しています。