機能前提条件の概要
• エンジン作動
• トランスミッションがリンプホームモード状態でない
• ドライブトレインがスタンバイ状態
シフトメカニズムの概要
完全一体型トランスミッションコントロールの導入により、補助的な機械式/エレクトロニックギアレンジ調整装置は不要になります。完全一体型トランスミッションコントロールは、エレクトロハイドロリック制御によりすべてのシフト操作およびギアレンジ切り換えを開始します。ステアリングコラムチューブモジュールの右側に取り付けられているダイレクトセレクトセレクタレバー (S16/13) によって、ギアレンジ「P、R、N、D」を選択します。ダイレクトセレクトセレクタレバーのシフトポジションは、ステアリングコラムチューブモジュールコントロールユニット (N80) によって読み取られ、FlexRayサスペンションシステム (Flex E)、ドライブトレインコントロールユニット (N127) およびドライブCAN (CAN C1) 経由で完全一体型トランスミッションコントロールコントロールユニット (Y3/8n4) に伝送されます。
インストルメントクラスタ (A1) のメッセージおよび表示
完全一体型トランスミッションコントロールコントロールユニットは選択したギアおよびシフトしたギアレンジおよび走行モードのインフォメーションを、ドライブCAN、ドライブトレインコントロールユニット、FlexRayサスペンションシステム、エレクトロニックイグニッションスイッチコントロールユニット (N73) およびユーザインタフェースCAN (CAN HMI) 経由でインストルメントクラスタに伝送します。これにより対応する表示の制御が行なわれます。
CDIコントロールユニット (N3/9) またはMEコントロールユニット (N3/10) はエンジンマネジメントのステータス、スタンバイ状態のドライブトレインのシグナルおよびエンジン作動中シグナルをドライブCAN経由で、完全一体型トランスミッションコントロールコントロールユニットに伝送します。
完全一体型トランスミッションコントロールコントロールユニットは以下の構成部品のシグナルを処理します:
• プレッシャセンサ (Y3/8b5)
• タービンホイールスピードセンサ (Y3/8n1)
• スピードセンサ(内部インプットスピード)(Y3/8n2)
• アウトプットシャフトスピードセンサ (Y3/8n3)
• トランスミッションオイル温度センサ (Y3/8s2)
• パーキングロックポジションセンサ (Y3/8s4)
以下の構成部品は、完全一体型トランスミッションコントロールコントロールユニットによって制御されます:
• パーキングロックリフトソレノイド (Y3/8l1)
• 潤滑圧力ソレノイド (Y3/8y12)
• クラッチコントロールソレノイドK81 (Y3/8y13)
• クラッチコントロールソレノイドK38 (Y3/8y14)
• クラッチコントロールソレノイドK27 (Y3/8y15)
• マルチディスクブレーキコントロールソレノイドB08 (Y3/8y16)
• マルチディスクブレーキコントロールソレノイドB05 (Y3/8y17)
• マルチディスクブレーキコントロールソレノイドB06 (Y3/8y18)
• ワーキングプレッシャソレノイド (Y3/8y19)
• トルクコンバータロックアップクラッチソレノイド (Y3/8y20)(トランスミッション725.035)
• ウェットクラッチソレノイド (Y3/8y22)(トランスミッション725.085)
以下のデータはドライブCAN経由で完全一体型トランスミッションコントロールコントロールユニットおよびCDIコントロールユニットまたはMEコントロールユニット間で交換されます。
• エンジン回転数
• シフトポイントアップの要求
• エンジントルク低下の要求
• トランスミッションコントロールのステータス
シフトメカニズムは以下の項目に区分されます:
• シフト操作時のデータ伝送
• シフト(1速から2速へのシフト説明)
シフト操作時のデータ伝送
走行モードのコンフォート「C」では、走行モードのスポーツ「S」と比べてシフトレンジが短いため(内燃エンジンまたはエレクトリックマシンの低回転数でシフト)、前進および後進発進時に使用する駆動トルクトルクはごくわずかです。リバースギア、パーキングポジションおよびニュートラルポジションは、ダイレクトセレクトセレクタレバーのみを使用して切り換えることができます。
運転者は、基本シフトプログラムをセンタコンソール付近の左アンダコントロールパネルパネル (N72/4) に位置するダイナミックセレクトスイッチ (N72/4s1) から実行できます。左アンダコントロールパネルは、シグナルをLCP LIN (LIN A3)、オーディオ/COMAND操作ユニット (A40/9)、テレマチックCAN (CAN A)、ヘッドユニット (A26/17)、ユーザインタフェースCAN、エレクトロニックイグニッションスイッチコントロールユニットおよびFlexRayサスペンションシステム経由でエレクトロニックスタビリティプログラムコントロールユニット (N30/4) に送信します。エレクトロニックスタビリティプログラムコントロールユニットは、選択した走行モードのインフォメーションをFlexRayサスペンションシステム、ドライブトレインコントロールユニットおよびドライブCAN経由で完全一体型トランスミッションコントロールコントロールユニットに伝送します。
走行モードのSport Plus「S+」およびスポーツ「S」では、運転者はステアリングホイールギアシフトボタン「シフトダウン」(S110/1) またはステアリングホイールギアシフトボタン「シフトアップ」(S111/1) を操作して、以下の機能を選択できます:
• ギアリミット作動
• 適切なギアへ切り換え
• ギアリミット上昇
• ギアリミット解除
ギアリミット作動
ステアリングホイールギアシフトボタン「シフトダウン」を1回操作すると、ギアリミット機能が作動します(内燃エンジン回転数が許容範囲にある場合、現在使用されているギアより一段下のギアにシフトダウンされます)。
適切なギアへ切換え
ステアリングホイールギアシフトボタン「シフトダウン」を操作して保持することにより、「適切なギアへのシフト」機能が選択されます。最適な車両の加速を可能にするギアが選択されます。
ギアリミット上昇
ギアリミットが選択されているときにステアリングホイールギアシフトボタン(シフトアップ)を操作すると、ギアリミットが一段上のギアにシフトアップされます(例えば 3速から4速へ)。
ギアリミット解除
ステアリングホイールギアシフトボタン「シフトアップ」を操作して保持することにより、ギアリミットがいっぱいまで引き上げられます(「D」へシフト)。
ステアリングホイールエレクトロニクス (N135) はステアリングホイールギアシフトボタンのシグナルを直接読み取り、これをステアリングホイールCAN (CAN LR)、ステアリングコラムチューブモジュールコントロールユニット、FlexRayサスペンションシステム、ドライブトレインコントロールユニットおよびドライブCAN経由で完全一体型トランスミッションコントロールコントロールユニットに送信します。これは要求をそれぞれの制御バルブによって実行されるハイドロリックシグナルに切り換えます。
シフト(1速から2速へのシフト説明)
1速ギアでは、マルチディスクブレーキB05、マルチディスクブレーキB06および多板クラッチK38がシフトされます。1速から2速へのシフトチェンジのとき、マルチディスクブレーキB05が作動停止し、多板クラッチK81が作動します。このシフト操作は、完全一体型トランスミッションコントロールコントロールユニットによって開始されます。このときマルチディスクブレーキB08は充填され、マルチディスクブレーキB08内の圧力は絶えず上昇します。同時に、マルチディスクブレーキB06内の圧力は低下します。これは、スムーズに移行します。2速のトルクに達すると、内燃エンジン回転数は2速のレベルに調整されなければなりません(上昇しすぎた段階)。回転数は、マルチディスクブレーキB08内の圧力上昇によって、また、必要に応じてCDIコントロールユニットまたはMEコントロールユニットがエンジントルク低下を実行することによって、調整されます。
アンダレブの(回転数が低すぎる)場合は強制シフトダウン、オーバレブの(回転数が高すぎる)場合は強制シフトアップが行われます。車両停止状態では自動的に1速に入ります。発進は1速/2速のどちらでも可能です。
短時間Mプログラム
短時間Mプログラムは、ステアリングホイールギアシフトボタンを操作すると作動する一時的なプログラムです。ステアリングホイールギアシフトボタンを操作すると、トランスミッションコントロールは、許容される限り、高くまたは低く切り換えられます。それ以外の場合は、現在のギアが維持されます。規定のタイムウインドウが経過すると、短時間Mプログラムは作動解除されます。横方向の加速度が検知された場合または車両の惰走モード時に、最低速度を下回ると(例えば 停止)、タイムウインドウが延長されることがあります。タイムウインドウの終了後、再びアウトプットシフトプログラムに移行します。運転者は、ステアリングホイールギアシフトボタン「シフトアップ」を操作して保持したり、ギアレンジまたは走行モードを切り換えたりするなど 、特定の措置を取ることにより、短時間Mプログラムを早めに終了することができます。この場合は再びアウトプットシフトプログラムに切り換わります。
Mプログラムの継続調整
Mプログラムはマニュアルシフトモードボタン (N72/4s12) を操作するとで作動します。ステアリングホイールギアシフトボタンを操作すると、トランスミッションコントロールは、許容される限り、シフトアップまたはシフトダウンします。それ以外の場合は、現在のギアが維持されます。
継続調整が作動している場合、オートマチックトランスミッションはエンジンがカットオフ回転数に達した場合でも自らシフトアップすることはありません。
参照文書
- gf2710p9992ane オートマチックトランスミッション (AG) のシステム構成部品の一覧表