「走行中」
車両は、出力要求、高電圧バッテリ (A100g1) の充電状態および選択された作動モードに応じて、電気のみで走行します。出力要求が大きい場合、エンジンは特にハイブリッド・ドライブ用に直接噴射式ガソリン・エンジン付きで独自に開発された方法でスタートし、その後、ウェット・クラッチ (NAK) の走行状態に応じた制御により、すみやかに快適に切り換えられます。その際、メルセデス・ベンツ・スタート方式は、スタータの適切な制御と、直接噴射式ガソリン・エンジンのいわゆるダイレクト・スタートを組み合わせて利用します。ダイレクト・スタートとは、効果的な燃料噴射とイグニッションによってスタートを最適化するものです。
さらに、同時にウェット・クラッチを制御して、始動時のエンジンをさらに加速させることができ、これにより、ハイブリッド車両では、従来のスタート方式と比べて、スタートが大幅にスムーズになっています。こうしたスタート方式の改善により、電気走行モードから駆動装置へのすみやかな接続が保証されています。
走行中の走行状態は、以下のように分類されます :
• ハイブリッド走行モード
• 電気走行モード
• 回生
• ブースト・モード
ハイブリッド走行モード
ハイブリッド走行モードでは、エンジンが主要な駆動源で、エレクトリック・マシン (A79/1) はオルタネータ・モードで車載されている電装品、例えばエアコンや DC / DC コンバータ・コントロール・ユニット (N83/1) への電源供給や、高電圧バッテリの放電または再充電に利用されます。加速が大きくなると、エレクトリック・マシンは、いわゆるブースト・モードで、エンジンをサポートし、これにより 8 気筒エンジンの最高水準の出力とトルクが供給されます。
しかし駆動装置と車載電装品の出力要求に応じて、また高電圧バッテリの充電状態に応じて、エンジンは停止され、再び電気走行モードに戻ります。
電気走行モード
走行プログラムまたは作動モードが電気走行モードを許容し、高電圧バッテリの充電状態が十分高く、運転者のトルク要求を電気のみで満たすことができ、ダイアグノシスまたはシステム・エラーが電気走行モードを阻止していない場合は常に、この運転モードが採用されます。その際、一定の前提条件が満たされていれば、ウェット・クラッチは開き、エンジンは ME コントロール・ユニットによって停止されます。
回生
ハイブリッド車両では、プレミアム ESP® システムが改良され、回生ブレーキ・システムにおいて、正常運転時にマスタ・ブレーキ・シリンダとリヤ・アクスル・ブレーキ回路との間のハイドロリック接続が ESP® システムに内蔵されたセパレート・バルブによって遮断されるようになりました。つまり、リヤ・アクスルには、エレクトリック・マシンか、またはハイドロリック・ユニットによって、ブレーキをかけることができます。
回生ブレーキでは、ブレーキ・トルクの一部が、あるいはブレーキ力が低い場合にはブレーキ・トルク全体が、エレクトリック・マシンによって生成されます。その際発生した電気エネルギによって高電圧バッテリが充電されます。
ブースト・モード
ブースト・モードのとき、エレクトリック・マシンは、要求された基準トルクをできる限り早く得るために、または最大エンジン・トルクを獲得したときにドライブ・トルクを補強するために、エンジンをサポートします。
その際、ブースト・モードの継続時間と程度は高電圧バッテリの充電状態およびアクセル・ペダルのポジションによって決まります。発進中のブースト・モードでは、エンジンとエレクトリック・マシンの間の回転数調整はウェット・クラッチ制御によって行われます。
作動モードおよび走行プログラム
運転者および走行プロファイルの要求に応じて車両を最適に利用するため、運転者には手動で選択できる 4 つの走行プログラムと 4 つの作動モードが用意されています。
走行プログラム・コントローラ (N72/4s1) によって、以下の 4 つの走行プログラムを選択できます :
• 走行プログラム「コンフォート」
• 走行プログラム「スポーツ」
• 走行プログラム「滑りやすい」
• カスタマイズした走行プログラム「ECO」
走行プログラム「コンフォート」
走行プログラム・コントローラによって、標準走行プログラム「コンフォート」が選択されます。走行プログラム「コンフォート」は標準プログラムで、プラグ・イン・ハイブリッド車両の敏捷性と贅沢なセダンの洗練された快適性を完璧に調和させています。電気モードのみが可能です。
走行プログラム「スポーツ」
走行プログラム「スポーツ」を選択すると、ドライブ・トレインのスポーティな特徴が優勢になります。このトランスミッション・プログラムでは、ギヤが低くなる傾向があり、ドライビングの楽しみを味わえる駆動特性になります。また電気走行は行われず、これにより、使用可能な電気エネルギは最大限、電気的なサポートを行うブースト・モードのために利用されます。走行プログラム「スポーツ」はハイブリッド走行モードと密接に結びついています。
走行プログラム「滑りやすい」
走行プログラム「滑りやすい」を選択すると、滑りやすい、雪に覆われた路面で運転者は最適な走行安定性を確保できます。電気モードのみが可能です。
カスタマイズした走行プログラム「ECO」
走行プログラム・コントローラによって、カスタマイズした走行プログラムが選択されます。オーディオ / COMAND 用ディスプレイ (A40/8) にはカスタマイズした走行プログラムを設定するためのメニューが表示されます。カスタマイズした走行プログラム「ECO」は、オーディオ / COMAND 操作部 (A40/9) によってサブ・メニュー「ドライブ」から選択できます。その後サブ・メニュー「ドライブ」でカスタマイズした走行プログラム「ECO」が選択されます。カスタマイズした走行プログラム「ECO」には燃費をさらに節減するために、後述するエコ・アシスト・システムと組み合わされたグライディング・モードがあります。
グライディング・モード
カスタマイズした走行プログラム「ECO」にでは、電気走行中のスラスト・トルクが最小まで低減され、これが最大のグライディング・モードを実現します。これにより車両は、アクセル・ペダルを離して、惰走状態でさらに走行を続けることができます。
フリー・ホイール・モードが長く続いた後に強くブレーキがかかったり、フリー・ホイール・モードが早く始まり過ぎて、続いてあらためてエンジンによるサポートが行われたりすると、効果は下がります。このため、エコ・アシスト・システムには触覚アクセル・ペダルが備えられています。
車両に取り付けられているレーダ・センサを使用して、「前走」車両との距離と速度が検知されます。「前走」車両に対する速度がアクセル・ペダルから足を離すことによって消費量に最適な形で調整できるようになった瞬間に、エコ・アシストが介入します。触覚アクセル・ペダルにおける感知できるダブル・パルスにより、運転者はアクセル・ペダルを離すよう、推奨されます。アクセル・ペダルをゆるめるとすぐに、電気走行モードが利用できる場合はエンジンが停止し、ウェット・クラッチがドライブ・トレインから外れて、車両はフリー・ホイール・モードに切り換わります。
「前走」車両が速度を落とすか、あるいはその他の影響によって距離が縮まると、レーダに基づく減速制御が開始されます。エレクトリック・マシンのスラスト・トルクの適合により、「前走」車両との距離は走行状況に応じて適切に調整されます。
以下の表は、作動モードと走行プログラムの可能な組み合わせと、その駆動力の発生方法を一覧したものです。
作動モード | 駆動力 | カスタマイズした走行プログラム「ECO」 | コンフォート | スポーツ | 滑りやすい |
ハイブリッド | エンジン + エレクトリック・マシン | 選択可 | 選択可 | 選択可 | 選択可 |
E モード | エレクトリック・マシン | 選択可 | 選択可 | 選択不可、エンジン作動 | 選択可 |
E セーブ | エンジン | 選択可 | 選択可 | 選択不可、エンジン作動 | 選択可 |
チャージ | エンジン | 選択可 | 選択可 | 選択不可、エンジン作動 | 選択可 |
ECO アシスト・システム
作動モード選択ボタン (N72/1s16) によって、ボタンを押すごとに以下の 4 つの作動モードを選択できます :
• ハイブリッド
• E モード
• E セーブ
• チャージ
走行プログラム「コンフォート」、「スポーツ」、「滑りやすい」およびカスタマイズされた「ECO」では基本的に走行特性が設定されるのに対して、作動モードは、電気エネルギの利用、および高電圧バッテリの充電状態に直接影響を与えます。
作動モード選択ボタンのステータスは走行プログラム操作パネルよって読み取られ、CAN 接続経由でインストルメント・クラスタおよびドライブ・トレイン・コントロール・ユニットに伝送されます。ドライブ・トレイン・コントロール・ユニットは作動モードを設定し、インストルメント・クラスタは設定された作動モードを表示します。
ハイブリッド
作動モード「ハイブリッド」は、標準モードです。このモードのとき、走行プログラム「コンフォート」およびカスタマイズされた「ECO」で、充電状態に応じた走行割合と電気走行モードとエレクトリック・マシン用に適切な予備出力を確保した最大のスタート快適性を備えたハイブリッド走行が行われます。走行プログラム、カスタマイズされた「ECO」を選択し、ルート・ガイダンスがオンの場合、このモードで走行距離に基づいたエネルギ・マネージメント が作動します。
走行区間に基づくエネルギ・マネージメント
運転者は、手動による選択によって、さまざまな作動モードを利用することができます。運転者は自分の走行区間を知っており、どこで電気走行したいか、そして高電圧バッテリがいつ放電されていればいいかを知っているからです。
走行区間に基づくエネルギ・マネージメントは、このふたつの要求をとりあげ、デジタル・マップを考慮して、走行区間に最適な作動モードの決定を運転者自身が行わなくてもすむようにしてくれます。
その際、作動モードの選択は、事柄のみに基づくのではなく、以下の点も考慮して行われます :
• 電気エネルギの使用は、距離に応じたさまざまな消費量の低減に影響します。
• 市街地で電気走行モード用の電気エネルギを使用すると、運転者は環境保護に貢献している意識が高まります。
郊外では、走行区間に基づくエネルギ・マネージメントは、一時的に電気エネルギの使用を減らし、さらに負荷ポイント移動によって、残りの走行区間のために適切に高電圧バッテリの充電状態を設定することができます。
走行ルートのエネルギ面での評価、ならびに充電の制御と出力には、以下の基礎が必要です :
• COMAND オンライン
• 現在の車両重量
• 走行特性 (車両スピード、ブレーキ特性)
• 補助電装品の負荷
• わき道の可能性
走行プログラム「スポーツ」では、最大の敏捷性が設定され、トランスミッションのギヤ・レンジ選択とアクセル・ペダル特性曲線が変更され、また電気走行は完全に廃止され、ブースト出力が高められます。
ハイブリッド・ドライブ・システムの制御 |
1 | 手動エネルギ・マネージメントに対する高電圧バッテリの充電状態の上昇 |
2 | 市街地における電気のみによる走行 |
3 | エネルギ・マネージメントの自動切換え |
A | 郊外の走行 |
B | 市街地の走行 |
C | 郊外の走行 |
D | 目的地への到着 |
SOC | 高電圧バッテリーの充電状態 |
P08.30-2100-74
E モード
作動モード「E モード」は、電気走行を最大限に行うモードです。運転者が快適に電気走行モードで走行を続けられるよう、プレッシャ・ポイントをともなう触覚アクセル・ペダルが作動します。この場合、エンジン・スタート要求を出す少し前に、感知できるプレッシャ・ポイントがアクセル・ペダルを介して出力されます。エンジン・スタートは、プレッシャ・ポイントを超過してから実施されます。
E セーブ
作動モード「E セーブ」では、この作動モードの開始時に保存された高電圧バッテリの充電状態が維持されます。電気走行モードは一部、引き続き許可されます。アイドリング時の電力消費を回避するため、停止状態または惰走時におけるエンジンの停止はこれにより引き続き可能です。高電圧バッテリからは、充電状態が設定値を下回らない分のエネルギだけが利用されます。
チャージ
作動モード「チャージ」では、高電圧バッテリは走行中、エンジンに負荷をかけることにより、おだやかに充電されます。その際、継続的な充電モードを保証するため、いかなる電気走行も、ブースト・モードも行われません。高電圧バッテリが完全に充電されると、自動的に作動モード「E セーブ」に切り換わります。
ハイブリッド・ドライブ・システムの走行モードとその際に作動するエンジン・コントロールのサブ機能は、以下のドキュメントで説明されます :
• 惰走の機能
• ハイブリッド・ドライブ・システム機能の走行モード
• 自動エンジン・ストップの機能
• 自動エンジン・スタートの機能
• ハイブリッド・ドライブ・システム・トルク調整の機能
• ハイブリッド・ドライブ・システム・モニタの機能
• 回生ブレーキの機能
参照文書
- gf0830p2004grh 惰走の機能
- gf0830p2005grh ハイブリッド·ドライブ·システム機能の走行モード
- gf0830p3001grh 自動エンジン·ストップの機能
- gf0830p3002grh 自動エンジン·スタートの機能
- gf0830p4001grh ハイブリッド·ドライブ·システム·トルク調整の機能
- gf0830p5001grh ハイブリッド·ドライブ·システム·モニタの機能
- gf0830p9999grh ハイブリッド·ドライブ·システムのシステム構成部品の一覧
- gf4222p1010grh 回生ブレーキの機能