「走行中」
車両は、出力要求、高電圧バッテリ (A100g1) の充電状態および選択された操作モード(モデル222.163)に応じて、電気のみで走行します。出力要求が大きい場合、内燃エンジンは特にハイブリッドドライブ用に直接噴射式ガソリンエンジン付きで独自に開発された方法でスタートし、その後、ウェットクラッチ (NAK) の走行状態に応じた制御により、すみやかに快適に切り換えられます。その際、メルセデス・ベンツ スタート方式は、スタータ (M1) の適切な制御と、直接噴射式ガソリンエンジンのいわゆるダイレクトスタートとを組み合わせています。ダイレクトスタートとは、効果的な燃料噴射とイグニッションによってスタートを最適化するものです。
さらに、同時にウェットクラッチを制御して、始動時の内燃エンジンをさらに加速させることができ、これにより、ハイブリッド車両では、従来のスタート方式と比べて、スタートが大幅にスムーズになっています。こうしたスタート方式の改善により、エレクトリックモードから駆動装置へのすみやかな接続が保証されています。
走行中の走行状態は、以下のように分類されます:
• ハイブリッドモード
• エレクトリックモード
• 回生
• ブーストモード
ハイブリッドモード
ハイブリッドモードでは、内燃エンジンがメイン動力源となります。エレクトリックマシン (A79/1) は、オルタネータモードで、例えばエアコンおよびDC/DCコンバータコントロールユニット (N83/1) (モデル222.163)などの車固有のエネルギ消費での電源供給、および高電圧バッテリの放電または再充電に利用されます。加速が大きくなると、エレクトリックマシンはいわゆるブーストモードで内燃エンジンをサポートし、これにより8気筒エンジンの最高水準の出力とトルクが供給されます。
しかし駆動装置および車載電装品の出力要求に応じて、また高電圧バッテリの充電状態に応じて内燃エンジンは停止し、再びエレクトリックモードに戻ります。
エレクトリックモード
走行モードまたは操作モードがエレクトリックモードを許容し、高電圧バッテリの充電状態が十分高く、運転者のトルク要求を電気のみで満たすことができ、ダイアグノシスまたはシステムエラーがエレクトリックモードを阻止していない場合は常に、この走行モードが採用されます。その際、一定の前提条件が満たされていれば、ウェットクラッチは開き、内燃エンジンはMEコントロールユニットによって停止されます。
回生
ハイブリッド車両では、プレミアムESP®システムが改良され、回生ブレーキシステムにおいて、正常運転時にはマスタブレーキシリンダとリアアクスルブレーキ回路間のハイドロリック接続がESP®システムに内蔵されたセパレートバルブによって遮断されるようになりました。つまり、リアアクスルには、エレクトリックマシンか、またはハイドロリックユニットによって、ブレーキをかけることができます。
回生ブレーキでは、ブレーキトルクの一部が、あるいはブレーキ力が低い場合にはブレーキトルク全体が、エレクトリックマシンによって生成されます。その際に発生した電気エネルギによって高電圧バッテリが充電されます。
ブーストモード
ブーストモードのとき、エレクトリックマシンは、要求された基準トルクをできる限り早く得るために、または最大エンジントルクを獲得したときにドライブトルクを補強するために、内燃エンジンをサポートします。
その際、ブーストモードの継続時間と程度は高電圧バッテリの充電状態および、アクセルペダルのポジションによって決まります。発進中のブーストモードでは、内燃エンジンとエレクトリックマシンの間の回転数調整はウェットクラッチ制御によって行われます。
操作モードと走行モード(モデル222.163)
運転者または走行プロフィールに応じて、車両を適切な方法で使用するために、運転者は手動で3つの走行モードおよび4つの操作モードを選択することができます。
走行モードスイッチ (A40/9s8) を介して、スイッチを押すことによって以下の3つの走行モードを選択することができます:
• 走行モード「E」
• 走行モード「S」
• 走行モード「E+」
走行モードスイッチのステータスはオーディオ/COMAND操作ユニット (A40/9) によって読み取られ、CAN接続部分経由でインストルメントクラスタ (A1) およびドライブトレインコントロールユニット (N127) に伝送されます。ドライブトレインコントロールユニットは走行モードを設定し、インストルメントクラスタは設定された走行モードを表示します。
オーディオ/COMAND操作ユニット(モデル222.163) |
A40/9 | オーディオ/COMAND操作ユニット |
A40/9s8 | 走行モードスイッチ |
A40/9s16 | 操作モード選択スイッチ |
P54.21-3466-06
走行モード「E」
走行モード「E」は標準プログラムで、プラグインハイブリッドの敏捷性と贅沢なセダンの洗練された快適性を完璧に調和させています。
走行モード「S」
走行モード「S」を選択すると、ドライブトレインのスポーティな特徴が優勢になります。この走行モードでは、ギアが低くなる傾向があり、レスポンスに優れた駆動特性になります。またエレクトリックモードは行われず、これにより、使用可能な電気エネルギは最大限、電気的なサポートを行うブーストモードのために利用されます。走行モード「S」はハイブリッドモードと密接に結びついています。
走行モード「E+」
走行モード「E+」は、燃費をさらに節減するため、後述するECOアシスタントシステムと組み合わされます。
操作モード選択スイッチを介して、スイッチを押すことによって以下の4つの操作モードを選択することができます:
• HYBRID
• Eモード
• Eセーブ
• チャージ
走行モード「E」「S」および「E+」によって基本的に走行安定性が設定されるのに対して、操作モードは電気エネルギの利用および高電圧バッテリの充電状態に直接影響します。
操作モード選択スイッチステータスはオーディオ/COMAND操作ユニットによって読み取られ、CAN接続部分経由でインストルメントクラスタおよびドライブトレインコントロールユニットに伝送されます。ドライブトレインコントロールユニットは操作モードを設定し、インストルメントクラスタは設定された操作モードを表示します。
HYBRID
HYBRID操作モードは標準操作モードです。走行モード「E」および「E+」では、エレクトリックモードが充電状態に応じた走行割合で提供され、エレクトリックマシンのための適切な予備出力を確保してスタート快適性が最大になるように、ハイブリッドモードが行われます。
走行モード「S」では、敏捷性が最大になるように設定が行われます。トランスミッションのギアレンジ選択とアクセルペダル特性曲線が変更されるほか、いかなるエレクトリックモードも行われず、ブースト出力が高められます。
Eモード
操作モード「Eモード」は、エレクトリックモードを最大限に行うモードです。運転者が快適にエレクトリックモードで走行を続けられるよう、プレッシャポイントをともなうインテリジェントアクセルペダルが作動します。この場合、内燃エンジンスタート要求を出す少し前に、感知できるプレッシャポイントがアクセルペダルを介して出力されます。エンジンスタートは、プレッシャポイントを超過してから実施されます。
Eセーブ
操作モード「Eセーブ」では、この操作モードの開始時に保存された高電圧バッテリの充電状態が維持されます。エレクトリックモードは一部、引き続き許可されます。アイドリング時の電力消費を回避するため、停止状態または惰走モード時におけるエンジンの停止はこれにより引き続き可能です。高電圧バッテリからは、充電状態が設定値を下回らない分のエネルギだけが利用されます。
チャージ
操作モード「チャージ」では、高電圧バッテリは走行中、内燃エンジンに負荷をかけることにより、おだやかに充電されます。その際、継続的な充電モードを保証するため、いかなるエレクトリックモードも、ブーストモードも行われません。高電圧バッテリが完全に充電されると、自動的に操作モード「Eセーブ」に切り換わります。
走行区間に基づくエネルギマネジメント
運転者は、手動選択によって、さまざまな操作モードを利用することができます。運転者は自分の走行区間を熟知し、電気走行する区間、そして高電圧バッテリが空になるタイミングを知っているからです。
走行区間に基づくエネルギマネジメントは、このふたつの要求をとりあげ、地図データを考慮し、走行区間に最適な操作モードの決定を運転者自身が行わなくてもすむようにしてくれます。
その際、操作モードの選択は、事象のみに基づくのではなく、以下の点も考慮して行われます:
• 電気エネルギの使用は、距離に応じたさまざまな消費量の低減に影響します。
• 市街地でエレクトリックモード用の電気エネルギを使用すると、運転者は環境保護に貢献している意識が高まります。
郊外では、走行区間に基づくエネルギマネジメントは、一時的に電気エネルギの使用を減らし、さらに負荷ポイント移動によって、残りの走行区間のために適切に高電圧バッテリの充電状態を設定することができます。
走行ルートのエネルギ面での評価、ならびに充電コントロールと出力には、以下の基本条件が必要です:
• COMAND Online
• 現在の車両重量
• 走行特性(車両スピード、ブレーキ特性)
• 補助電装品の負荷
• わき道の可能性
ハイブリッドドライブシステムの制御 |
1 | 手動エネルギマネジメントに対する高電圧バッテリの充電状態の上昇 |
2 | 市街地におけるエレクトリックオンリーモードによる走行 |
3 | エネルギマネジメントの自動切り換え |
A | 郊外の走行 |
B | 市街地の走行 |
C | 郊外の走行 |
D | 目的地への到着 |
SOC | 充電レベル(高電圧バッテリの充電状態) |
P08.30-2100-74
ECOアシスタントシステム
走行モード「E+」では、エレクトリックモード中のスラストトルクが最小にまで低減され、これによりセーリングモードが最大限可能となります。これにより車両は、アクセルペダルを離して、惰走状態でさらに走行を続けることができます。
セーリングモードが長く続いた後に強くブレーキがかかったり、セーリングモードが早く始まり過ぎて、続いてあらためて内燃エンジンによるサポートが行われたりすると、効果は下がります。このため、ECOアシスタントシステムにはインテリジェントアクセルペダルが備えられています。
車両に取り付けられているレーダーセンサシステムを使用して、「前走」車両との距離と速度が検知されます。「前走」車両に対する速度がアクセルペダルから足を離すことによって消費量に最適な形で調整できるようになった瞬間に、ECOアシストが介入します。インテリジェントアクセルペダルにおける感知できるダブルパルスにより、運転者はアクセルペダルを離すよう、推奨されます。アクセルペダルをゆるめるとすぐに、エレクトリックモードが利用できる場合は内燃エンジンが停止し、ウェットクラッチがドライブトレインから外れて、車両はセーリングモードに切り換わります。
「前走」車両が速度を落とすか、あるいはその他の影響によって距離が縮まると、レーダに基づく減速制御が開始されます。エレクトリックマシンのスラストトルクの適合により、「前走」車両との距離は走行状況に応じて適切に調整されます。
以下の表は、それぞれの操作モードでどの走行モードが選択できるか、また駆動力がどのように生成されるかの概要を示したものです。
操作モード | 駆動力 | 「E+」 | 「E」 | 「S」 |
HYBRID | 内燃エンジン+エレクトリックマシン | 選択可 | 選択可 | 選択可 |
Eモード | エレクトリックマシン | 選択可 | 選択可 | 選択不可、内燃エンジン作動 |
Eセーブ | 内燃エンジン | 選択可 | 選択可 | 選択不可、内燃エンジン作動 |
チャージ | 内燃エンジン | 選択可 | 選択可 | 選択不可、内燃エンジン作動 |
ハイブリッドドライブシステムの走行モードおよびその際に作動する部分機能は、以下のドキュメントで説明されています:
• ハイブリッドドライブシステム走行条件の機能
• ハイブリッドドライブシステムモニタの機能
• ハイブリッドドライブシステムトルク調整の機能
• 自動エンジン停止機能
• 自動エンジン始動機能
• 惰走モード
• 回生ブレーキの機能
参照文書
- gf0830p2004lfh 惰走の機能
- gf0830p2005lfh ハイブリッド·ドライブ·システム機能の走行モード
- gf0830p3001lfh 自動エンジン·ストップの機能
- gf0830p3002lfh 自動エンジン·スタートの機能
- gf0830p4001lfh ハイブリッド·ドライブ·システム·トルク調整の機能
- gf0830p5001lfh ハイブリッド·ドライブ·システム·モニタの機能
- gf0830p9999lfh ハイブリッド·ドライブ·システムのシステム構成部品の一覧
- gf4222p1010lfh 回生ブレーキの機能