機能前提条件の概要
• エンジン作動
MEコントロールユニット (N3/10) は、エンジン作動をクランクシャフトホールセンサ (B70) のシグナル評価によって検知します。MEコントロールユニットは、クランクシャフトホールセンサのシグナルを直接読み取ります。
温度管理の概要
MEコントロールユニットは、エンジンの冷却水温度を温度管理経由で制御します。
それにより、以下の長所が生じます:
• 速やかに適切な作動温度に到達
• 排気ガスエミッションの削減
• 燃料節約
• 車内の迅速な加熱
温度管理制御のために、MEコントロールユニットは以下のシグナルを読み取ります:
• 冷却水温度
水温センサ (B11/4)
• ブーストエア温度およびエンジン負荷
プレッシャ/温度センサ(ターボチャージャの後)(B28/17)
• アクセルペダル位置
ドライブトレインコントロールユニット (N127) はアクセルペダルセンサ (B37) のシグナルを直接読み取り、アクセルペダルポジションをドライブCAN (CAN C1) 経由でMEコントロールユニットに送信します。
• エンジン回転数
クランクシャフトホールセンサ
さらに、MEコントロールユニットは以下の変数を評価します:
• 回転数調整およびトルク調整のためのエアコンのステータス
クライメートコントロールコントロールユニット (N22/1) は、このステータスを車内CAN (CAN B)、エレクトロニックイグニッションスイッチコントロールユニット (N73)、FlexRayサスペンションシステムサスペンションシステム (Flex E)、ドライブトレインコントロールユニット、ドライブCAN経由でMEコントロールユニットに送信します。
• 車両スピード
インストルメントクラスタ (A1) は車両スピードをユーザインタフェースCAN (CAN HMI)、エレクトロニックイグニッションスイッチコントロールユニット、FlexRayサスペンションシステム、ドライブトレインコントロールユニットおよびドライブCAN経由でMEコントロールユニットに送信します。
• ホイールスピード
エレクトロニックスタビリティプログラムコントロールユニット (N30/4) はホイールスピードを、FlexRayサスペンションシステム、ドライブトレインコントロールユニットおよびドライブCAN経由でMEコントロールユニットに送信します。
• トランスミッションオイル温度
完全一体型トランスミッションコントロールエレクトリックコントロールユニット (Y3/8n4) は、トランスミッションオイル温度をドライブCAN経由でMEコントロールユニットに送信します。
• 外気温度
フロントSAMコントロールユニット (N10/6) は、外気温度に関する情報を車内CAN、エレクトロニックイグニッションスイッチコントロールユニット、FlexRayサスペンションシステムサスペンションシステム、ドライブトレインコントロールユニット、ドライブCAN経由でMEコントロールユニットに送信します。
• 電動クーラントポンプ (M75/11) のステータス
MEコントロールユニットは、電動クーラントポンプのシグナルをエンジンLIN (LIN C2) 経由で読み取ります。
P20.10-2526-79
図は高温冷却回路 |
1 | ラジエター | M75/11 | 電動クーラントポンプ | |
2 | 高温冷却回路エクスパンションタンク | R48 | クーラントサーモスタットヒータエレメント | |
3 | ターボチャージャ | a | クーラントリターン | |
4 | 内燃エンジン | b | クーラントフィード | |
5 | エンジンオイルクーラ付オイルモジュール | c | エア抜き/クーラント調整 | |
6 | ヒータリターンライン | d | クーラントリターン(ヒータ) | |
7 | ヒータフィード |
P20.00-2674-79
図は低温回路1および2 |
9 | インタークーラ | B10/13 | 低温回路温度センサ | N83/1 | DC/DCコンバータコントロールユニット | ||
11 | トランスミッションオイルクーラ | B10/14 | 温度センサ(低温回路2) | N129 | スタータオルタネータコントロールユニット | ||
13 | 低温回路2ラジエター | G1/3 | 48 V電装品用バッテリ | Y73/1 | 低温回路スイッチオーババルブ | ||
14 | 低温回路1ラジエター | M43/6 | 低温回路循環ポンプ1 | a | クーラントリターン | ||
15 | エクスパンションタンク | M43/7 | 低温回路循環ポンプ2 | b | クーラントフィード | ||
A79 | 一体型スタータオルタネータ | M60/1 | 電動補助コンプレッサ | c | エア抜き/クーラント調整 |
温度管理を以下の項目に分けて説明します:
• クーラントサーモスタットクローズドループ制御
• 電動クーラントポンプによるアフタスタート段階
• 低温回路1
• 低温回路2
• 過熱保護
• ファンコントロール
• ラジエターグリルフラップ(ラジエターシャッタ(コード2U1)装備)
クーラントサーモスタットクローズドループ制御
クーラントサーモスタットのボールロータリバルブの機械式開閉は、約102 °C ~ 118 °Cの温度範囲で伸縮エレメントの温度感応型の伸長と収縮により行われます。目標温度は約105 °Cです。118 °Cでボールロータリバルブは全開します。
さらにクーラントサーモスタットヒータエレメントの制御によって、クーラントサーモスタットの開閉は電気的に制御されます。これは完全に可変的にかつエンジンの要求に応じて行われます。
クーラントサーモスタットのボールロータリバルブには以下のポジションがあります:
• クローズ
• オープン開始(ミックスモード)
• オープン(クーラモード)
閉じた状態のクーラントサーモスタットの外観 |
48 | クーラントサーモスタットハウジング |
48a | 伸長エレメント |
48b | ボールロータリバルブ |
R48 | クーラントサーモスタットヒータエレメント |
E | エンジンへ |
F | ラジエターへ |
G | 低温回路へ |
P20.10-2527-76
クーラントサーモスタットが閉じた状態
以下の条件が満たされている場合、クーラントサーモスタットのボールロータリバルブ (48b) は閉じています:
• 冷却水温度約102 °C未満
• クーラントサーモスタットヒータエレメント (R48) は無通電状態
• 全負荷要求がない
このポジションでは、クーラントがエンジンオイル熱交換器と排ガスターボチャージャとを有するエンジン冷却回路を流れており、必要に応じて車内ヒータ用のヒータコアを通って流れています。ラジエターはクーラント循環内に組み込まれていません。これによりクーラントは急速に加熱されます。
急速な加熱により、エンジンはより早く作動温度に達し、これにより燃費に好ましい影響を及ぼします。
開いた状態のクーラントサーモスタットの外観 |
48 | クーラントサーモスタットハウジング |
48a | 伸長エレメント |
48b | ボールロータリバルブ |
R48 | クーラントサーモスタットヒータエレメント |
E | エンジンへ |
F | ラジエターへ |
G | 低温回路へ |
P20.10-2528-76
クーラントサーモスタットが開く(ミックスモード)
以下の条件が満たされている場合、ボールロータリバルブ (48b) は開き始めます:
• スタート(全負荷要求なし)後、最初に冷却水温度約102 °Cに達する
• クーラントサーモスタットヒータエレメント (R48) が通電される。
約102 °C~118 °Cのクーラントの温度範囲で、またはクーラントサーモスタットヒータエレメント (R48) の通電に応じて、伸長エレメント (48a) が伸長し始め、ボールロータリバルブ (48b) を操作します。これによりラジエターとの接続が開かれます。ボールロータリバルブ (48b) の開口断面積は、伸長エレメント (48a) の温度または冷却水温度に比例します。これによりラジエターへのクーラント流量が必要に応じて変化します。
クーラントサーモスタットが開いている(クーラモード)
冷却水温度が約118 °Cに達すると、ボールロータリバルブ (48b) は全開し、クーラントは制約されずにラジエターを貫流できます。
エレクトロニッククローズドループ制御
クーラントサーモスタットヒータエレメント (R48) が作動条件に応じてMEコントロールユニットによって制御される場合、低温時でも全開することがあります。
そのために以下のデータはMEコントロールユニットにより読み取られます:
• 吸気温度
• 外気温度
• エンジン回転数
• エンジンロード
制御は、アースシグナルを通じて行われます。電源供給は「ターミナル87M2」を通じて行われます。
エンジン要求に応じて、設定水温は高温にあるいは低温に調整できます。
高い設定水温(約105 °C)に対して、106 °C以上に伸長エレメント (48a) をさらに加熱することによって、機械的クローズドループ制御がサポートされます。110 °Cでは、クーラントサーモスタットヒータエレメント (R48) は完全に通電されるため、ボールロータリバルブ (48b) が全開することになります。冷却水温度が上昇すると、部分負荷範囲で出力レベルが有利になり、それによって燃費にポジティブな影響を及ぼします。
低い設定水温は、85 °Cくらいです。この場合クーラントサーモスタットヒータエレメント (R48) は、さまざまな環境条件に適合されるパイロット制御下にあります。夏季および外気温度が高い場合には、危険な温度範囲を回避するために、クーラントサーモスタットヒータエレメント (R48) をすでに80 °Cで完全に通電できます。冬季および外気温度が低い場合には、最大出力の30~50 %でクーラントサーモスタットヒータエレメント (R48) が通電されます。
全負荷モードで設定冷却水温度が低ければ、吸気が比較的加熱されないので、エンジン出力に有利な影響を及ぼします。
電動クーラントポンプによるアフタスタート段階
アフタスタート段階では、電動クーラントポンプのカットオフによりクーラント循環が中断されます。冷却が行われないとエンジンはすぐに加熱され、排気ガスエミッションが低下します。
電動クーラントポンプは冷間始動時、以下の条件が満たされている場合に作動停止します:
• 冷却水温度75 °C未満
• クライメートコントロールのコントロールユニットによる「ヒータ」要求がなされない場合
「ヒータ」要求により、電動クーラントポンプが制御されます。これによって車内がすばやく暖房されます。
クーラントポンプのカットオフ条件が満たされなくなると、MEコントロールユニットは電動クーラントポンプを新たに制御します。したがってクーラント循環は再作動します。
右方からのエンジン外観図 |
M75/11 | 電動クーラントポンプ |
P01.10-3413-06
低温回路1
一体型スタータオルタネータとスタータオルタネータコントロールユニットは、水冷式インタークーラとともに、冷却のため低温回路1に接続されています。
低温回路1のクーラントは循環し、回路内の特定のポイントのオーバヒートを防止します。そのためにドライブトレインコントロールユニットは、低温回路循環ポンプ1を必要に応じてドライブトレインLIN LIN C3) を介して制御します。
低温回路1の流量は、低温回路スイッチオーババルブによりクローズドループ制御されます。ドライブトレインコントロールユニットは、必要に応じて低温回路スイッチオーババルブをドライブトレインLIN経由で特性マップに従って制御します。
以下の変数に応じてクローズドループ制御されます:
• 周辺温度
• ブーストエア温度
• エンジンロード
• 低温回路1の冷却水温度
ドライブトレインコントロールユニットは、低温回路温度センサのシグナルを直接読み取ります。
低温回路2
DC/DCコンバータコントロールユニットおよび48 V電装品用バッテリは、低温回路2によって冷却されます。低温回路2のクーラントは、低温回路循環ポンプ2によって循環します。
ドライブトレインコントロールユニットは、低温回路循環ポンプ2を、必要な場合低温回路2内の冷却水温度に応じて、ドライブトレインLIN経由で制御します。そのためにドライブトレインコントロールユニットは、低温回路2温度センサのシグナルを直接読み取ります。
過熱保護
過熱保護はエンジンおよび触媒コンバータを、熱の過負荷による損傷から保護します。
熱による過負荷がさし迫る場合は、MEコントロールユニットは以下の措置を講じます:
• イグニッションは、エンジン負荷およびエンジン回転数に応じて冷却水温度約90 °C以上およびブーストエア温度約20 °C以上で「遅角」方向へ調整されます。
• スロットルバルブの開口部は、スロットルバルブアクチュエータモータ (M16/6m1) によってエンジン負荷およびエンジン回転数に応じて縮小します。
• 噴射時間は小さなエアマスに適合されます。その際、MEコントロールユニットは以下の構成部品を制御します:
• フューエルインジェクタ、シリンダ1 (Y76/1)
• フューエルインジェクタ、シリンダ2 (Y76/2)
• フューエルインジェクタ、シリンダ3 (Y76/3)
• フューエルインジェクタ、シリンダ4 (Y76/4)
• フューエルインジェクタ、シリンダ5 (Y76/5)
• フューエルインジェクタ、シリンダ6 (Y76/6)
• クーラントサーモスタットのボールロータリスライダは、クーラントサーモスタットヒータエレメントの制御によって全開します。
ファンコントロール
ドライブトレインコントロールユニットは、ファンモータ (M4/7) をドライブトレインLIN経由で、0 ~ 100 %間で出力を調整して制御します。制御不良の場合、ファンモータは最高回転数で回転します(ファンのエマージェンシオペレーション)。
ファンアフタランニング
冷却水温度またはエンジンオイル温度は設定された最高値を超えると、ファンモータは「イグニッションオフ」のとき6 分までアフタランを行います。その際、バッテリ電圧が下がりすぎると、ファンアフタランニングは作動されません。
ラジエターグリルフラップ(ラジエターシャッタ(コード2U1)装備)
燃費を(より低い空気抵抗により)下げるため、ラジエターグリルフラップが閉じます。さらに、エンジンルームの冷却が弱められ、エンジン外部への異音が緩和されます。ラジエターグリルフラップは以下の前提条件で開きます:
• 冷却水温度 105 °Cを超過
• ブーストエア温度 34 °Cを超過
• 車両スピードは 180 km/hを超過
• ファン出力 30 %を超過
ドライブトレインコントロールユニットは、以下のアクチュエータモータをドライブトレインLIN経由で制御します:
• アクチュエータモータ (M2/37)(モデル222)
• ラジエターグリルフラップ上部アクチュエータモータ (M2/38)(モデル213、238、257)
• ラジエターグリルフラップ下部アクチュエータモータ (M2/39)(モデル213、238、257)
ラジエターグリルフラップは前提条件が満たされなくなった場合、またはエンジンがオフのときに閉じられます。
エマージェンシ機能:
アクチュエータモータのスプリングテンションにより、ラジエターグリルフラップは、誤作動の場合に感知できるノイズをともなって急激に開きます。
クリーニングポジション:
イグニッションスタートスイッチのキーをポジション2に回します(エンジンスタートしてはいけない)。ラジエターグリルフラップは約120 秒後に自動的に開きます。
参照文書
- gf0770p9998mrt 直接噴射型ガソリン·インジェクションおよびイグニッション·システムのシステム構成部品の一覧