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注
MB ディーゼル・エンジンは、各国内または欧州の必要条件を満たすディーゼル燃料用に設計されています。通常、他の燃料のことは考慮していません。
再生可能な原料を使用、あるいは地域の農業を支援するという意味で、この数年間、「バイオ・ディーゼル燃料」導入の可能性について検討されてきました。「バイオ・ディーゼル」とは、化学的には通常、化学反応により脂肪酸メチル・エステル (FAME) の混合物に変化した植物油のことを指します。
バイオ・ディーゼル燃料は、さまざま略語で表記されているため、ここに「略語」の簡単な説明を記載します:
FAME 脂肪酸メチル・エステル (一般名称) は、将来的に欧州統一規格として使用されます。
PME 植物油脂肪酸- ドイツ語圏で以前使用されていたメチル・エステルの一般名称
RME ナタネ油脂肪酸- ナタネ油から生成される特殊な「メチル・エステル・バイオ・ディーゼル燃料」
化学変化しない植物油 (ナタネ油、大豆油、ヒマワリ油など) は メルセデス・ベンツ・ディーゼル・エンジンには使用できません。 これはその植物油の純度には関係ありません。植物油には従来のディーゼル燃料と比べて非常に大きな分子量が含まれることから、いくつかの良くない特性を有しています:
• 非常に高い沸騰範囲 (不完全なフューエル・インジェクション)
• 部分的に (加熱時) カーボンの付着した状態で分解
• 高い粘度など
化学的に変化させていない植物油の使用は、短時間でエンジンに極めて深刻な長期的損傷を引き起こすおそれがあります。エンジン損傷の主な原因:インジェクション・ノズル、燃焼室表面、ピストン・リング溝およびオイル・ボア内のカーボンの付着
エステル化した物質について述べた他のテキストでは、欧州規格統一の観点から「バイオ・ディーゼル燃料」を「FAME (脂肪酸メチル・エステル)」として表しています。ただし、弊社の経験から得た知識では「バイオ・ディーゼル燃料」を RME に限定しています。
FAME は、従来の燃料では対応しきれないケースをカバーするという点で将来が期待され、環境への配慮が特に要求される場所 (水源保護地域など) に導入されています。
100 % FAME での走行と、FAME と従来のディーゼル燃料の混合での走行とは、区別する必要があります。下記のセクション 1 から 3 までは、100 % FAME での走行について、セクション 4 以下は混合燃料での走行について説明しています。
1 承認状況
乗用車の場合は、FAME に対する適合性がないため、一律に承認を行うことができません。1999 年 8 月以降のいくつかのモデル E 200/220 D あるいは CDI、C 200/220 D またはコモン・レール・ダイレクト・インジェクションについては、エンジン名称にかかわらず、FAME 適合装備をオプションで取り寄せることができます。上記の車両は、フューエル・システムおよびインジェクション・システムに、原則的に他モデルとは異なる、耐久性のあるエラストマを使用しています。しかし、欧州排出ガス規制「EU 4」との関連では、排気ガス後処理に関する理由のため、FAME 適合のオプション装備を提供することはできません。
特にこれに適した交換部品の詳細については、2000 年 3 月 30 日付のサービス・インフォメーション 00.40-P-0005A を参照してください。
FAME を使用した MB 商用車および MB 産業用エンジンの承認については、メルセデス・ベンツ指定サービス工場に対して発行されるサービス・インフォメーション (STIN、No. 00.0028 00Sなど) に規定があります。ここには、モデルや製造年による承認状況、また、SK、MK、LK 車両、バス、トランスポータ、UNIMOG の装備変更の必要などについて記載されています。
2 技術的状況
2.1 エンジンの測定値
FAME を使用すると、ディーゼル燃料の場合と比較して、エンジン測定値に次のような違いが生じます:
• 発熱量が少なくなるため、燃費 (量) が若干増加します。
• 発熱量が少なくなり、粘度が高くなるため、最高出力が若干低くなります。
• 直接噴射式 (トラック、バス) の場合も、排出ガスは同様に少なくなります。黒煙は著しく減少します。NOx 値がわずかに高くなっていることがわかります。
走行条件が不適切な場合 (特にアイドリングが長いなど) は、異臭がすることがあります。酸化触媒を使用することにより、HC、CO およびパティキュレートの放出や異臭を大きく削減することができます。
2.2 燃料
シートのセクション 1 から 3 までは、純粋な FAME 用について説明したもので、FAME とディーゼル燃料との混合燃料の説明ではありません。ただし、FAME 承認車両の場合は、特別な処置をとらずに、FAME とディーゼル燃料を交互に使用することが許可されています。FAME とディーゼル燃料の混合燃料については、セクション 4 を参照します。
燃料は、欧州規格 14214 の規定を満たしていることが必要です (混合燃料も同様)。
欧州規格 14214 の遵守は非常に重要です。低品質の燃料を使用しての走行は機能不良や損傷を引き起こすおそれがあります。
2.3 エンジン・オイル
廃棄処理に関しては、原則的に次のとおりです:
二次精製エンジン・オイルのメーカの中には、FAME を一定量含有したエンジン・オイルの処理ができないところもあります。その場合は、お客様が廃油処理業者に依頼することになります。
2.3.1 乗用車
オイル交換時期はディーゼル燃料を使用した走行の場合と同じです。
フューエル・フィルタは、初回は走行距離 1,000 ~ 5,000 km、その後は 30,000 km ごとに交換します。
ディーゼル燃料で比較的長期間走行した (10,000 km 以上) 後に FAME に切り換えた場合は、切換え後、比較的早いうち (走行距離 1000 ~ 2000 km) にフューエル・フィルタを交換します。
FAME の運行に切り換えた車両を 2 週間以上使用しなかった場合は、まずディーゼル燃料に切り換え、少なくとも 30 分以上、走行させます。
気温が - 10 °C 以下の場合、市販の冬季用ディーゼル燃料を使用することをお薦めします。
2.3.2 商用車
FAME 作動 (B100) は MB 燃料油脂承認リスト 228.3/.31/.5/.51 準拠のエンジン・オイルを使用してください。FAME を使用した走行では、オイル交換時期の間隔が短くなります。これに関する記載は、全商用車が対象の 2009 年 5 月 12 日付のサービス・インフォメーション SI 00.40-N-0008A をご覧ください。
2.4 FAME に対する構成部品の耐性
乗用車:
燃料供給システムのエラストマ製ホースやガスケットは、弾性ゴム製のものと交換します。ただし、これらのパーツは、特定のモデルでのみ使用が可能です (「承認状況」参照)。詳細については、1) に記載されたサービス・インフォメーションを参照します。
商用車:
車両モデルによっては、FAME での長期間走行に耐性のない部品があります (特にエラストマ製のもの)。走行中の安全のため、FAME への適性は車両モデルごとの点検が必要です。多くの場合は、必要に応じて、FAME に適合するよう変更を加えることが可能です。詳細については、1) に記載されたサービス・インフォメーションを参照します。
2.5 その他
冬季および冷間始動時の問題は、現段階では解決されていません。車両およびエンジンによっては、気温が零下になったときの燃料予熱システムが必要と思われます。
FAME は非常に性能の高い溶剤です。そのため、給油時にペイントに触れないようにご注意ください。
3 法規
3.1 燃料規格
ディーゼル燃料として使用される FAME には、欧州規格 14214 (2002 年 9 月版) が適用されます。
3.2 一般的走行許可
FAME での走行時の最高出力は、メーカの申告の 5 % 以上減少する可能性があります。これにより、走行許可が取り消されることはありません。
4 FAME と鉱物オイル・ディーゼル燃料の混合
4.1 一般的な注意事項
政治的な観点 (欧州委員会) から、EU ではバイオ燃料の使用が優遇されます。そのため、現在有効な 2009 年の欧州規格 590 改訂版、ドイツの DIN 51628 およびオーストリアの ÖNORM 1590 では、 7 体積比 (%) FAME までの混合物が 欧州規格 14214 にしたがい明確に許可されました。
4.2 技術的状況
4.1 に記載されている規定は、ヨーロッパ市場のすべての車両は FAME 7 体積比 (%) 以下の連続走行を、お客様および環境に対してマイナスな影響を与えずに行うことが前提となっています。このことが完全に守られる保証はありません。
ACEA (欧州自動車工業会) の判断によれば、7 体積比 (%) の FAME の濃縮は容認される可能性があります。ただし、比較的古い車両にはある程度のリスクが生じるおそれがあります。もちろんこの場合も、混合燃料が全面的に 欧州規格 590:2009 の規定どおりであること、FAME の割合が 欧州規格 14214 の規定と合致していることを前提とします。FAME の濃度が高めであることを明記する必要があり、また、FAME 用に改造されていない車両には使用しないことをお薦めします。
4.3 欧州以外の国々の状況
一次エネルギのコスト (原油価格) の高騰により、多くの市場で植物油をベースとした代替燃料がますます高い評価を受けるようになってきています。しかし欧州以外では、基本原料として多くの場合ヤシ油、大豆油などの植物油が使用され、またエステル交換用としてメタノールの代わりにエタノールが使用されることもよくあります。ここから生じるメチル・エステルまたはエチル・エステルは通常、ナタネ油脂肪酸メチル・エステルとは異なる燃料特性を持っています。また 欧州規格 14214 は欧州内でのみ有効であり、類似の ASTM 6751 (米国) は比較可能な品質を記述していないため、それらを使用した混合燃料について弊社はテストを実施しませんでした。米国のある州 (ミネソタ) における強制混合は、この分野において大きな問題の原因となりました。
4.4 欧州内の今後の動向
該当する欧州推奨事項の規定にしたがい、欧州内では燃料中の再生成分の割合を高めること 10% (エネルギ) が目標となります。