機能前提条件の概要
• エンジン作動
MEコントロールユニット (N3/10) は、エンジン作動をクランクシャフトホールセンサ (B70) のシグナル評価によって検知します。MEコントロールユニットは、クランクシャフトホールセンサのシグナルを直接読み取ります。
過給
過給器により、シリンダ充填効率が改善されます。これにより、エンジントルクおよびエンジン出力が上昇します。エア量の増加に対応するフューエル量がMEコントロールユニットにより割り当てられます。
過給の際、排気ガスの流体エネルギはターボチャージャの駆動のために利用されます。ターボチャージャはコンプレッサエアインレットのエアフィルタを介して外気を吸入し、これをコンプレッサエアアウトレットを介してブーストエアパイプに送ります。コンプレッサホイールの回転数が上がり、空気の流量が増加することにより、ブーストエアパイプ内の空気が圧縮、加熱されます。このとき最大ブーストプレッシャは約2.2 barです。
ブーストエアパイプ経由でブーストエアはインタークーラに流れ、約30 °Cの温度に冷却します。引き続きブーストエアはブーストエアディストリビュータパイプに流れ、シリンダの燃焼に使用されます。
過給器の構造を下から見た図 |
9 | インタークーラ |
50 | ターボチャージャ |
M16/6 | スロットルバルブアクチュエータ |
M60/1 | 電動補助コンプレッサ |
Y101 | バイパスエアスイッチオーババルブ |
A | 排気ガス |
B | 吸気/ブーストエア(冷却済み) |
C | ブーストエア(未冷却) |
P09.00-2157-76
過給は以下の項目に区分されます:
• ブーストプレッシャコントロール
• 電動補助過給
• バイパスエア
ブーストプレッシャコントロール
ブーストプレッシャコントロールは、ブーストプレッシャコントロールフラップアクチュエータ (M16/7) によって行われます。ブーストプレッシャコントロールフラップアクチュエータは、特性マップと負荷に応じて、ブーストプレッシャコントロールのためにMEコントロールユニットによって制御されます。そのためにMEコントロールユニットは、エンジンマネジメントの以下のシグナルおよび機能を評価します:
• ブーストプレッシャおよびブーストエア温度
ブーストエアプレッシャ/温度センサ (B4/32)
プレッシャ/温度センサ(スロットルバルブの前)(B28/26)
プレッシャ/温度センサ(ターボチャージャの後)(B28/17)
• インテークエアプレッシャ
プレッシャセンサ(エアフィルタの後)(B28/11)
• 運転者による負荷要求
ドライブトレインコントロールユニット (N127) は、アクセルペダルセンサ (B37) のシグナルを直接読み取り、アクセルペダルポジションをドライブCAN (CAN C1) 経由でMEコントロールユニットに送信します。
• エンジン回転数
クランクシャフトホールセンサ
• ノックコントロール、トランスミッション過負荷保護、過熱保護
全負荷モードでは、機械的条件付きで最大ブーストプレッシャが形成されます。ブーストプレッシャを低下させるために、タービンホイールを駆動する排気ガスの流れが、ブーストプレッシャコントロールフラップが開くことによりバイパスを介して迂回します。
ブーストプレッシャコントロールフラップアクチュエータは、リンケージを介してバイパスを塞ぐブーストプレッシャコントロールフラップを操作します。排気ガス流の一部がバイパスを通ってタービンホイールのところで誘導され、それによってブーストプレッシャの制御とタービン回転数の制限が行われます。そのためブーストプレッシャは現在のエンジンの負荷要求に適合されます。
ターボチャージャからブーストエアディストリビュータパイプまでのブーストエア経路内の現在の圧力と温度の比率をモニタするため、MEコントロールユニットはプレッシャ/温度センサのシグナルを評価します。ブーストプレッシャはエンジン要求に調整されます。
電動補助過給
ブーストプレッシャは、排気ガス流によって駆動されるターボチャージャの回転数に直接対応しています。したがって、低回転数/部分負荷範囲で発生し得るターボチャージャのブーストプレッシャはむしろ低く、エンジンの回転数が増加してから上昇します。運転者から迅速で高い出力の要求があった場合、最大ブーストプレッシャが生成できるまでには一定の時間がかかるため、エンジンのフル出力が使用可能です。過給エンジンのこのような特性は、「ターボラグ」と呼ばれます。
このターボラグを防止し、さまざまな回転数にかかわらず均等で高いブーストプレッシャを得るために、電動補助コンプレッサにより低回転数/部分負荷範囲でブーストプレッシャの一部が生成されます。このようにして供給されるブーストプレッシャは最大400 mbarです。
エンジンマネジメントは、エンジンの負荷要求、作動状態、および周辺条件に応じて、各エンジン回転数に対する基準ブーストプレッシャを算出します。ターボチャージャは低回転域では基準ブーストプレッシャを生成できないため、実測ブーストプレッシャと基準ブーストプレッシャ間の差圧は電動補助コンプレッサの制御により補正されます。そのためにエンジンマネジメントは、必要なブーストプレッシャに割り当てられた補助コンプレッサの回転数を算出します。
MEコントロールユニットは、ドライブトレインセンサCAN (CAN I) により3,000 rpm以下の回転数の補助コンプレッサの制御を要求します。
補助コンプレッサの制御中は、ブーストプレッシャのモニタのため、プレッシャ/温度センサ(スロットルバルブの前)のシグナルが検出されます。ターボチャージャが単独で作動している場合、プレッシャ/温度センサ(ターボチャージャの後)によって圧力測定が行われます。
図は電動補助コンプレッサ |
M60/1 | 電動補助コンプレッサ |
P09.00-2164-05
バイパスエア
ターボチャージャは、惰走モード時にシャフト、コンプレッサおよびタービンホイールの質量慣性によってさらに少し回転します。スロットルバルブが素早く閉じると、そのためにブーストプレッシャの波がコンプレッサホイールへ戻ります。このブーストプレッシャの波は、コンプレッサホイールで吐出容量が低く、プレッシャレシオが高いという状態を引き起こし、ターボチャージャポンピングにつながります(短時間のうなり音と機械的な応力)。バイパスエアスイッチオーババルブが開くと、ターボチャージャのインテーク側へのバイパスを通して急激な圧力減少が生じ、このような状態を防ぎます。
ターボチャージャの図 |
5 | コンプレッサ |
6 | タービン |
7 | スロットルバルブへ |
8 | エグゾーストマニホールドから |
Y101 | バイパスエアスイッチオーババルブ |
E | フレッシュエア |
F | 排気ガス |
P09.40-2654-82
エンジンの負荷モードでは、ブーストプレッシャがかけられたダイヤフラムにより、バイパスが閉じた状態で維持されます。
エンジンが停止している場合、ダイヤフラムはバイパスエアスイッチオーババルブに内蔵されているスプリングによってシールシートの中へ押されます。スロットルバルブが閉じ、そのため惰走モードになったことを、スロットルバルブアクチュエータ (M16/6) の実測値ポテンショメータ1 (M16/6r1) および実測値ポテンショメータ2 (M16/6r2) を介してMEコントロールユニットが検知すると、バイパスエアスイッチオーババルブが制御されます。その際、ダイヤフラムはスプリング力とブーストプレッシャに対抗して引き上げられ、インテーク側のバイパスを開きます。これにより、余剰ブーストプレッシャは減少します。
エンジンが惰走モードから負荷モードへと変化すると、バイパスエアスイッチオーババルブはそれ以上制御されません。スプリングはダイヤフラムをシールシートの方向へ押します。そこでダイヤフラムは強力なブーストプレッシャによってシールシートへ引っ張られるため、バイパスダクトを再び塞ぎます。
バイパスエアスイッチオーババルブの断面図 |
50 | ターボチャージャ |
M16/7 | ブーストプレッシャコントロールフラップアクチュエータ |
Y101 | バイパスエアスイッチオーババルブ |
G | 閉じた状態 |
H | 開いた状態 |
P09.40-2655-76
参照文書
- gf0770p9998mrt 直接噴射型ガソリン·インジェクションおよびイグニッション·システムのシステム構成部品の一覧